家を買うって、一生に何度もない大きなお買い物ですよね。だからこそ不安がつきものですし、疑問点はすべて解消して契約に進みたいものです。「この物件、本当に大丈夫かな?」「後で“そんな話聞いてない!”なんてことにならない?」…そんな不安を解消するためにあるのが「重要事項説明書」です。
堅苦しい名前ですが、実はこれ、住宅購入で「後悔しないための鍵」とも言える存在。契約前に、物件や取引内容の大事なポイントをまとめて教えてくれるものなのです。
今回は「重要事項説明書とは何か」をわかりやすくご紹介します。
これから家を買うあなたに、ぜひ知っておいてほしい内容です。
- 1 重要事項説明書とは?
- 2 対象となる宅地又は建物に直接関係する事項
- 2.1 登記記録に記録された事項
- 2.2 都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要
- 2.3 私道に関する負担に関する事項
- 2.4 飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況
- 2.5 宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状、構造等(未完成物件のとき)
- 2.6 建物状況調査の結果の概要(既存の建物のとき)
- 2.7 建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況(既存の建物のとき)
- 2.8 当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か
- 2.9 当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か
- 2.10 当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か
- 2.11 水防法の規定により市町村の長が提供する図面(水害ハザードマップ)における当該宅地建物の所在地
- 2.12 石綿使用調査の内容
- 2.13 耐震診断の内容
- 2.14 住宅性能評価を受けた新築住宅である場合
- 3 取引条件に関する事項
- 4 その他の事項
- 5 マンションに関する独自の事項
- 6 まとめ
重要事項説明書とは?
不動産の売買契約を結ぶ前に、買主が契約内容や物件について正しく理解できるよう、宅地建物取引業法35条では「重要事項説明書(35条書面)」を交付して説明することが義務付けられています。これは、宅地建物取引士が物件や取引条件の重要なポイントを、書面を使って契約前に説明するものです。説明を受ける時に「全然分からない…」とならないよう、事前におおまかな内容を知っておきましょう。
重要事項説明書を大別すると、対象となる宅地又は建物に直接関係する事項、取引条件に関する事項、その他の事項、マンションに関する独自の事項の4つになります。重要事項説明をする場所は、不動産会社の店舗や買主の自宅など、どこでもかまいません。重要事項説明書は賃貸物件や物件の交換でも必要ですが、今回は物件の売買取引についてのみ説明します。
対象となる宅地又は建物に直接関係する事項
登記記録に記録された事項
登記簿の権利部(甲区)には、所有権に関する事項が登記されています。具体的には所有権保存登記・所有権移転登記及びその仮登記・処分の制限等に関する登記が記録されています。現在の所有者以外の権利(所有権移転仮登記や買い戻し特約等の登記)がないか、確認しましょう。
権利部(乙区)には、所有権以外の権利が登記されています。具体的には抵当権・地上権・地役権・貸借権等の設定・移転および抹消等の登記が記録されています。抵当権が設定されている場合は、引渡までに抹消してもらう必要があります。
都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要
都市計画法
購入する不動産は、都市計画法で定められたどの区域区分にあたるか、土地の利用が制限される場合は記載・説明があります。加えて、都市計画施設や市街地開発事業がある場合は、その説明もあります。
建築基準法
用途地域、地域・地区・街区名、建蔽率、容積率等について記載・説明があります。建てられる建物の階数や用途などが決まるので、しっかり確認しましょう。また、中古住宅の場合は、建築基準法の制限によって将来建て替えができないなどの問題が出ないか、確認が必要です。
私道に関する負担に関する事項
建物の敷地は、幅4m以上の道路に2m以上接しないと建築ができないため、私道を作って接道させることがあります。この場合、維持管理や通行に関して特別な負担が生じることがあります。例えば、舗装や補修の費用を所有者同士で分担する必要があったり、通行や排水に関する権利が必要だったりするケースもあります。購入前にしっかり確認しておきましょう。
飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況
飲用水(上水道)や電気、ガス、排水設備など、生活に欠かせないライフラインが整っているかどうかを確認します。水道は公営なのか私設なのか、ガスは都市ガスかプロパンガスか、電気は一般送配電事業者の供給区域か等によって、使い勝手や維持費に違いが出ることがあります。また、排水が下水道に直接つながっているのか、浄化槽を経由するのかといった点も重要です。これらの整備状況が不十分だと、追加工事や費用が発生することもあるため、契約前にきちんと確認しておきましょう。
宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状、構造等(未完成物件のとき)
宅地は、造成工事完了時の宅地に接する道路の幅員、道路からの高さ、擁壁、階段、排水施設や井戸等の位置と構造について、平面図を交付して説明があります。
建物は、建築工事完了時の建物主要構造部の鉄筋コンクリート造や木造等の種類、屋根の種類、階数、内装、外装の構造や仕上げ、設備の設置などについても同様に、平面図を交付して説明があります。
完成前の物件は実物が見られないため、完成後に「聞いていた内容と違う」といったトラブルが起きやすくなります。こうしたリスクを避けるためにも、重要事項説明書でしっかりと内容を確認し、わからない点があれば遠慮なく質問しましょう。
建物状況調査の結果の概要(既存の建物のとき)
建物状況調査(ホームインスペクション)とは、既存住宅の基礎、外壁等の部位毎に生じているひび割れ、 雨漏り等の劣化・不具合の有無などを目視、計測等により調査したものです。
この調査は義務ではありませんが、購入前に建物の状態を把握できるため、安心材料のひとつになります。劣化が見つかった場合には、修繕の必要性や費用の目安を検討する材料にもなります。調査が実施されていない場合もその旨が説明されるので、気になる方は事前に調査の有無を確認しましょう。
建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況(既存の建物のとき)
中古住宅を購入する際には、その建物がどのように建てられ、これまでどのような修繕や点検が行われてきたかを把握することが大切です。設計図書や建築確認済証、検査済証、増改築の記録、ホームインスペクションの報告書、既存住宅性能評価書、定期調査報告書等があれば、建物の信頼性や維持管理の状況を確認する手がかりになります。書類がある場合は、購入後の維持管理やリフォーム計画にも役立ちますので、確認しておきましょう。
当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か
造成宅地防災区域とは、宅地造成による崩落や土砂災害のリスクがあるとされ、特に安全対策が必要とされる区域のことです。この区域内で建築を行う場合は、災害防止措置を講じる努力義務があります。重要事項説明書には、物件がこの区域に該当するかどうかについて記載されていて、説明があります。
当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは、土砂災害が発生するおそれがあると指定されたエリアです。土砂災害による危険が想定されますが、区域内であっても開発行為や建築行為は制限されていません。しかし、危険性が高いとされる土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されている場合は、建物の建築に都道府県知事の許可が必要だったり、構造に規制があったり等、厳しい制限が設けられています。
重要事項説明書では、該当の物件がこれらの区域内にあるかどうか明示され、災害リスクを判断する重要な情報となります。安心・安全な住まい選びのために、必ず確認しておきましょう。
当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か
津波災害警戒区域(イエローゾーン)・津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン・レッドゾーン)とは、津波防災地域づくりに関する法律に基づき指定された、津波災害のおそれがある区域です。イエローゾーンでは開発・建築行為に制限はありませんが、オレンジゾーンやレッドゾーンでは床面の高さ、擁壁の設置など、制限が設けられています。
重要事項説明書では、物件がこの津波災害警戒区域に該当するかどうか明示され、災害リスクを判断する重要な情報となります。将来的なリスクや保険、再建のしやすさにも関わるため、契約前に必ず確認し、必要に応じてハザードマップなども併せてチェックすると安心です。
水防法の規定により市町村の長が提供する図面(水害ハザードマップ)における当該宅地建物の所在地
水害ハザードマップは洪水・雨水出水(内水)・高潮の3種類があり、国土交通省の「わがまちハザードマップ」で調べることができます。地球温暖化により、台風やゲリラ豪雨での水害は珍しいことではなくなりました。こうした背景から、不動産取引時には物件の所在地が水害リスクのある区域に該当するかどうか、重要事項説明書を交付して説明することが宅建業者に義務づけられています。
万一の際の避難経路や、水害時の建物や家財への影響、火災保険・地震保険の補償内容にも関わるため、事前の確認はとても大切です。特に土地の低い地域や河川の近くにある物件では、ハザードマップの内容をしっかりと把握し、必要に応じて対策を講じておくと安心です。購入前に一度、ご自身でマップを確認してみることをおすすめします。
石綿使用調査の内容
石綿(アスベスト)は、かつて建材に広く使用されていた素材です。耐火性・断熱性に優れていますが、長期間大量に吸入すると、肺がんなどの健康被害を引き起こすおそれがあることから、現在は使用が禁止されています。築年数の古い建物では、過去に石綿を含む建材が使われている可能性があるため、リフォームや解体時には注意が必要です。
宅建業者には、石綿使用有無の調査の実施自体は義務付けられていません。買主には石綿使用の有無を調査したかどうか、調査した場合はその結果について、重要事項説明書に記載されていて、説明があります。特に中古物件では、将来的な安全性や工事費用に関わる大事な情報です。気になる方は、担当者に詳細を確認してみましょう。
耐震診断の内容
地震の多い日本では、建物の耐震性は無視できない重要な要素です。耐震診断は1981年5月31日以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の建物に対して行われ、耐震性能がどの程度か評価されます。1981年6月1日以降に新築に着手した「新耐震基準」の建物は省かれます。
宅建業者には旧耐震基準の建物について、耐震診断が行われた場合はその内容を記載・説明する義務があります。診断結果が「倒壊の可能性あり」の場合には、購入後の補強工事費用や安全性に大きく関わってくるため、事前に確認しておくことが大切です。安心して暮らせる住まい選びの判断材料として、しっかり確認しましょう。
住宅性能評価を受けた新築住宅である場合
住宅性能評価とは、国土交通省の認定を受けた第三者機関が住宅の性能を客観的に評価する制度で、新築住宅においては「設計」と「建設」の2段階で評価を受けることができます。評価の対象となるのは、耐震性・省エネ性・劣化対策・維持管理のしやすさなど、全部で10分野。これにより、住まいの品質が数値で示されるため、安心材料のひとつになります。
住宅性能評価を受けた新築住宅は品質への信頼性が高く、将来の売却時にもプラス要素になる場合があります。また一定の条件を満たすと、住宅ローンの金利優遇や地震保険料の割引を受けられることもあります。重要事項説明書には、評価の有無や評価結果について記載されていて、説明がありますので、購入時にはぜひ確認しておきましょう。
取引条件に関する事項
代金及び交換差金以外に授受される金額
不動産の売買では、物件の代金以外にも費用が発生します。例えば手付金・固定資産税等清算金・管理費等清算金(マンションの場合)などです。諸費用(仲介手数料・登記費用・ローン費用・測量費用・抵当権抹消費用等)については、重要事項とは別に説明があります。予期せぬ出費を防ぐためにも、どのような名目でいくらかかるのか、事前にしっかり確認しておきましょう。
契約の解除に関する事項
どんな場合に契約を解除できるのか、契約解除の手続き方法、契約を解除した場合の効果について、以下6項目の記載・説明があります。
手付解除
手付解除とは、買主が支払った手付金を放棄するか、売主が手付金の倍額を返すことで契約を解除できる制度です。契約当事者が自由に解除できる期間は、契約で定められた期限までに限られます。
引渡し完了前の滅失・毀損による解除
引渡し前に物件が災害などで滅失・毀損した場合、買主は契約を解除できることがあります(一括返済の場合は適用されません)。
契約違反による解除
契約違反があった場合、相手に責任があれば、解除や損害賠償を請求できることがあります。
融資利用の特約による解除
融資利用の特約とは、住宅ローンの審査に通らなかった場合に売買契約を無条件で解除できる特約で、融資が受けられなかった場合に適用されます。特約の条件や期限は契約書に明記されるので、事前に確認しましょう。
譲渡承諾の特約による解除
譲渡承諾の特約による解除とは、売買の対象となる物件が賃借権付きで、土地所有者(地主)の承諾が得られなかった場合に契約を解除できるというものです。承諾が得られなかった場合に備えて、念のため特約を設けることで、トラブルを防ぐことができます。
瑕疵の責任及び瑕疵による解除
瑕疵とは、契約時に知らされていなかった物件の不具合や欠陥のことです。引渡し後に重大な瑕疵が判明した場合、売主に修補や損害賠償を求めることができます。内容によっては契約の解除が可能な場合もあります。売主が一般人か宅建業者かによって、責任を負う期間が違いますので、しっかり確認しましょう。
損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
売主が物件を引き渡さなかったり、買主が代金を支払わなかったりした場合の、違約金の支払額や損害賠償の取り決めについて記載・説明があります。
手付金等の保全措置の概要(宅建業者自らが売主の場合)
未完成物件の場合、売主が倒産してしまうと、手付金が返還されない事態も生じます。これを防ぎ、消費者を保護するための保全措置について記載・説明があります。
保全措置が必要なケースは、未完成物件の場合は手付金額が「購入代金の5%を超える」または「1,000万円を超える」場合です。完成物件の場合は「購入代金の10%を超える」または「1,000万円を超える」場合に保全措置を取らなければなりません。そのための手付金の保全方法について、記載・説明があります。
支払金又は預り金の保全措置の概要
不動産会社が代行して行う金銭を伴う措置などに対して、不動産会社が50万円以上の金銭を預かる場合は、保全措置を講じる必要があります。その際、保全措置の有無や、保全措置が取られた場合はその内容について、記載・説明があります。
金銭の貸借のあっせん
あっせん(斡旋)とは「双方の間に入って、物事が進むように取りはからうこと」という意味です。不動産会社が特定の金融機関と提携して住宅ローン(金銭の貸借)のあっせんを行う場合、金融機関名・金額・金利・返済方法・借入期間などについて記載・説明があります。あっせん無しの場合も、通例として、それ以外のローンの説明があります。また、融資が受けられなかった場合は契約が解除されることや、手付金として預かった金銭を返却することについて、記載・説明があります。
担保責任(当該宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任)の履行に関する措置の概要
「担保責任の履行に関する措置」とは、売買する土地や建物が契約で定めた内容と異なる、いわゆる「契約不適合」があった場合に、売主がその責任をどのように果たすかを定めたものです。例えば、引渡し後に雨漏りやシロアリ被害など重大な不具合が見つかった場合、買主は補修や代金の減額、場合によっては契約解除や損害賠償を請求できる可能性があります。
重要事項説明書には、このような不適合があった際にどんな補償が受けられるのか、責任の範囲や期間などが記載されています。契約前に内容をしっかり確認しておくことで、引渡し後のトラブルにも落ち着いて対応できるでしょう。
割賦販売に係る事項
不動産における割賦販売とは、土地や建物の引き渡し後、売買代金の全額または一部を2回以上、かつ1年以上にわたって分割で支払う契約形態をいいます。住宅ローンに似ていますが、仕組みは異なります。住宅ローンでは金融機関が融資を行い、物件を担保に取るため、返済が滞ればその物件を競売して回収します。一方、割賦販売では売主自身が買主に分割払いを認める形となり、完済するまで所有権を留保したり、譲渡担保として物件を確保したりすることは法律上できません。そのため、売主・買主ともに、契約内容をしっかり確認する必要があります。
その他の事項
供託所等に関する説明
「供託」とは「金銭・有価証券・物品を差し出し、保管してもらうこと」という意味です。つまり供託所は、金銭や有価証券等を保管してもらう場所ということになります。不動産会社が営業を始める時、万が一に備えて「営業保証金」を供託所に預けておくか、保証協会に加入して「弁済業務保証金分担金」を納める義務があります。これは、契約に関連する損害が発生した場合に、消費者がそこから一定額を請求できるようにするための制度です。
この制度により万が一、取引中に不動産会社が倒産したり、手付金などの返還に応じなかったりした場合でも、消費者は供託所や保証協会を通じて損害の一部または全部の補償を受けることができます。供託制度は消費者保護を目的とした安心の仕組みであり、信頼できる不動産取引を支える大切な制度の一つです。
※2017年の宅建業法改正で、対象は一般の消費者に限られ、宅建業者は除外されました。
マンションに関する独自の事項
敷地に関する権利の種類及び内容
マンションの敷地には「所有権」と「借地権」があり、どちらかを区分所有者全員で共有します。借地権の場合は毎月の地代が発生することもあり、また借地期間終了後には、建物を取り壊して返還する必要があります。購入前に、敷地の権利内容をしっかり確認しておきましょう。
共用部分に関する規約等の定め
マンションのエントランスや廊下、エレベーター、ゴミ置き場などは「共用部分」と呼ばれ、すべての住人で共同利用するスペースです。これらの使い方や管理方法については、管理規約でルールが定められています。例えば、ペットの移動方法などが規定されていることがあります。購入前に内容を確認して、自分のライフスタイルと合っているかチェックしておきましょう。
専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約等の定め
マンションでは、各住戸(専有部分)にも利用に関するルールが定められています。例えば「住居以外の用途は禁止」「ペットの飼育は不可」「楽器の演奏は時間を制限」など、他の居住者とのトラブルを避けるための規約です。これらは管理規約に記載されていて、購入後は守らなければなりません。自分や家族の暮らし方に合った内容か、事前に確認しておきましょう。
専用使用権に関する規約等の定め
「専用使用権」とは、共用部分の一部でありながら、特定の住戸の所有者だけが使用できる権利のことです。代表的なものに専用庭やバルコニー、駐車場などがあります。これらのスペースは所有権ではなく、あくまで「使用する権利」があるに過ぎません。そのため、管理規約などで使用条件や禁止事項、使用料の有無などが定められており、勝手に改造したり第三者に貸したりすることはできません。購入前に内容をよく確認しておきましょう。
所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約等の定め
管理費や修繕積立金など、本来すべての区分所有者が平等に負担する費用について、特定の人だけを減額・免除する内容が管理規約などで決められている場合に、記載・説明があります。こうした取り決めがある場合、そのぶんの負担を他の区分所有者で分担することになるため、購入前に規約を確認しておきましょう。
計画修繕積立金等に関する事項
マンションの共用部分を、将来的に修繕・改修するために積み立てておく費用に関する内容です。エレベーターや外壁、防水設備など、長期的な修繕計画に基づき、区分所有者から毎月一定額を集めて管理組合が積み立てます。購入時には毎月の支払額、現在の積立金額、滞納があればその額と精算方法を確認しましょう。
通常の管理費用の額
管理費は管理員や清掃員の人件費、管理を委託している場合の委託費、共用部分の電気代や水道代などの水道光熱費、エレベーターや防犯カメラ等の共用設備の保守点検などに使われます。購入時には毎月の支払額、滞納があればその額と精算方法を確認しましょう。
管理の委託先
管理形態(全部委託、一部委託、自主管理など)、委託先の名称、住所などの記載・説明があります。マンションの管理は、建物の資産価値を維持するうえで非常に重要なので、よく確認しましょう。
建物の維持修繕の実施状況の記録
マンション購入時は、大規模修繕の実施状況や今後の予定を必ず確認しましょう。築十数年以上経っているのに大規模修繕実績がない場合は、今後実施する予定があるか確認しましょう。もし今後も大規模修繕の予定がなければ、将来的な維持に不安が残ります。専有部分の大きなリフォームについても、売主から説明されますので、あわせて確認しましょう。
その他
管理費・修繕積立金等の変更予定の有無、自治会費、インターネットやケーブルテレビ代、その他諸費用があれば、その金額等について記載・説明があります。
まとめ
重要事項説明書には「物件にどんな特徴や制限があるか」「契約条件はどうなっているか」といった、後でトラブルになりやすいポイントが網羅されています。読むのに少し時間がかかるかもしれませんが「知らなかった」「聞いてなかった」を防ぐためには、とても大切な情報源です。また、分からない点があればそのままにせず、不動産会社の担当者に遠慮なく質問することも重要です。「聞いてもいいのかな?」と遠慮してしまいがちですが、不明点を解消して納得するまでは、署名捺印をしないようにしましょう。
「家を買う」という人生の大きな決断に、不安や迷いはつきものです。しかし、正しい知識を持つことで、その一歩はぐっと安心できるものになります。重要事項説明書は、あなたの大切な家選びを後押ししてくれる心強い味方。じっくり目を通して、購入する物件のことをよく知り、納得のできるお取引をしましょう。
朝日土地建物では、物件のご紹介はもちろん、重要事項説明書の内容についても丁寧にご説明し、納得いただけるまでサポートいたします。「契約すると思うと手が震える…」「相談しながら進めたい」…そんな方こそ、ぜひ一度店舗へお越しください。経験豊富なスタッフが、あなたのペースに合わせて、安心できる住まい選びをお手伝いいたします。