「そろそろ、家を買いたいな」そう思ったとき、最初にぶつかるのが「何から始めればいいのか分からない」という壁ではないでしょうか。物件の探し方、資金計画、住宅ローン、不動産会社とのやりとり……初めての不動産購入は、わからないことだらけ。人生の中でも大きな買い物だけに、「後悔したくない」という気持ちも強いですよね。
この記事では初めてマイホームを購入する方に向けて、家探しから入居までの流れを7つのステップに分けて、分かりやすく解説していきます。事前に知っておくだけで安心感がグンと高まり、スムーズに購入まで進めるので、最後まで目を通してくださいね。
ステップ1:理想の暮らしを言語化する
「そろそろマイホームを持ちたい」と思ったとき、まず最初にやってほしいのが、理想の暮らしを明確にすることです。これができていないまま物件探しを始めてしまうと、「あれもいい」「これもいい」と目移りしてしまい、いつまでも決められなかったり、逆に焦って購入して後悔することにもなりかねません。
理想の暮らしとは、「広さが〇帖欲しい」「新築がいい」といった条件面の話だけではありません。
「ガーデニングができる庭付きの家で暮らしたい」
「夫婦それぞれが自分の時間を持てる間取りにしたい」
「リモートワークに集中できる書斎が必要」
「子どもが走り回れる公園が近くにあるといいな」
「駐車場は2台分ほしい」
といった、生活シーンをイメージすることが大切です。
また、家族それぞれが何を大事にしたいのか、優先順位を共有することも重要なステップです。例えば、通勤時間を短くしたいという希望と、自然が多い郊外で子育てしたいという希望があったとき、どちらを優先するかを明確にしておけば、物件の選定がスムーズになります。
この段階では、細かく数字に落とし込む必要はありません。むしろ、まずは感情や価値観をベースに考えることがポイントです。
「家事がしやすい動線がいい」
「友人を気軽に呼べるリビングが欲しい」
「朝日が入る東向きの寝室がいい」
など、思いつくままに書き出してみましょう。
そうして言語化された「自分たちの理想」は、家探しにおける「軸」になります。この軸があることで、予算や立地、間取りといった現実的な条件とのバランスを取りながら、本当に納得できる選択ができるようになります。
不動産の購入は、多くの人にとって一生に一度あるかないかの大きな買い物です。まずは「どんな家を買うか」ではなく、「どんな暮らしをしたいか」を家族で話し合ってみてください。それが、後悔のない家探しの第一歩になります。
ステップ2:資金計画を立てる
家探しを始める前に、必ず押さえておきたいのが「資金計画」です。ここが曖昧なままだと、「気に入った家を見つけたのに予算オーバーだった」「ローンの返済が思ったより苦しい」など、後悔につながるケースが少なくありません。
まずは、「自己資金(頭金)」と「住宅ローンで借りる金額」を大まかに把握することから始めましょう。住宅購入には、物件価格以外にも様々な諸費用(登記費用、仲介手数料、火災保険、引っ越し費用など)がかかります。これらの諸費用は物件価格の3~10%程度が目安と言われており、意外と負担が大きいものです。資金計画に組み込んでおきましょう。
「頭金に全額つぎ込んでしまって、手持ち資金がゼロ」などということのないよう、生活費の数ヶ月分は手元に残しておくと安心です。
次に重要なのが「毎月の返済額をいくらに設定するか」です。ここでありがちなのが、「年収に対していくらまで借りられるか」だけを見てしまうこと。しかし実際に大切なのは「いくらなら無理なく返していけるか」です。理想的な頭金の額は物件価格の10~20%、返済負担率は手取り収入の20~25%以下です。
返済負担率(%)=年間の住宅ローン返済額÷年収×100
例えば、現在の家賃が月10万円で生活に余裕があるなら、それをひとつの目安にするのも一つの方法です。ただし、住宅を購入すると固定資産税や修繕費など、新たにかかってくる費用があります。マンションなら管理費や修繕積立金など、毎月かかってくる費用もあります。
さらに将来のライフイベント(子どもの進学や車の買い替え、老後資金など)を見据えた上で、無理のない返済額を考えることが大切です。
また、住宅ローンにはさまざまな金利タイプ(変動金利・固定金利・固定金利期間選択型)があります。どのタイプを選ぶかで総返済額は大きく変わりますので、金融機関の比較やシミュレーションをしっかり行いましょう。住宅ローンは「審査に通ればOK」ではなく、「無理をせず払い続けられるか」が大事なポイントです。
理想の住まいを見つけるためには、まずは「現実的な予算」を知ることから始めましょう。自分たちの将来設計に合った資金計画を立ててこそ、納得のいく家探しができるのです。住宅ローンアドバイザーや不動産会社の営業担当者にも、遠慮せずご相談ください。プロの視点からのアドバイスを受けることで、数字の見落としや思わぬリスクにも気づけるはずです。
ステップ3:エリアと物件タイプをしぼる
理想の暮らしがイメージできて、資金計画の目安ができたら、次は「どこで」「どんな家に住むか」を考えましょう。ここでは、エリア選びと物件タイプの選定という2つの大きなポイントに向き合うことになります。
エリアの選択
通勤・通学の利便性、スーパーや病院、公園など生活インフラの充実度、治安や街の雰囲気……これらはすべて、日々の暮らしの快適さに直結します。例えば、共働きで子育て中のご家庭なら、「保育園や小学校が近くにあるか」「駅まで自転車で通える距離か」など、家族構成やライフスタイルによって重視するポイントが異なります。
また、将来的な視点も忘れてはいけません。今は便利な街でも、再開発の予定があるか、周辺が高齢化していないかなど、少し先の暮らしも見据えたエリア選びが重要です。不動産会社の営業担当者に地域情報を聞くのもオススメです。ネットには出ていない、リアルな暮らしの声が聞けるかもしれません。
物件タイプの選択
マンションか一戸建てか、建売住宅か注文住宅か、新築か中古か……それぞれにメリット・デメリットがあります。たとえば、マンションはセキュリティや利便性が高い一方で、管理費や修繕積立金がかかります。一戸建ては自由度が高く、庭付きや駐車場のある物件も選びやすいですが、将来的にメンテナンス費用がかかります。中古は新築よりも安く手に入りますが、リフォーム費用がかかるかもしれません。
「どちらがいい」という正解はありません。大切なのは、「自分たち家族の暮らしにはどちらが合っているか」を判断することです。例えば、「子どもが小さくて足音が気になる」という方は一戸建て向きですし、「駅近で生活に便利なところに住みたい」という方はマンションを選ぶと良いでしょう。
エリアと物件タイプをある程度しぼり込めば、効率的に物件を検討できるようになります。このステップは、いわば「選択肢を減らすための戦略」です。広く探しすぎると疲れてしまうので、ここで絞り込むことによって、その後の家探しがスムーズになります。
ステップ4:信頼できる不動産会社を選ぶ
理想の家探しを成功させるうえで、「どの不動産会社を選ぶか」はとても大きなポイントです。物件の良し悪しはもちろん大事ですが、それ以上に「相談しやすいか」「丁寧に説明してくれるか」「無理に契約を急がせないか」といった営業担当者の対応が、満足度を大きく左右します。
とはいえ、不動産会社は数が多く、インターネット上の情報だけでは見極めが難しいのも事実です。まず確認したいのは、その会社が宅地建物取引業者の免許をきちんと取得しているかどうかです。免許は、すべての不動産会社が国または都道府県から取得することが義務付けられていて、店舗に掲示されている「宅地建物取引業者票」やWebページの会社情報、チラシ等に記載されています。
この免許証番号は、次のように表記されます。
この(3)の数字は、「免許の更新回数」を表しています。免許は5年ごとの更新制で、この数字が大きいほど、長く営業している会社ということになります。例えば(1)なら開業から5年未満、(5)なら20年以上継続して営業している実績があるということです。もちろん、更新回数が多ければ絶対に安心というわけではありませんが、一定の信頼材料にはなります。
また、免許番号の前にある「国土交通大臣」か「都道府県知事」かという違いは、営業所の数と場所によります。複数の都道府県にまたがって営業している場合は「国土交通大臣」、1つの都道府県内だけで営業している場合は「都道府県知事」が管轄です。いずれにしても、しっかりとした認可を受けて営業していることを確認するのが第一歩です。
そのうえで、実際に店舗を訪れて営業担当者と会話してみることをオススメします。専門用語をかみくだいて説明してくれるか、こちらの要望を丁寧に聞き取ってくれるか、契約を急かさないで冷静な判断を促してくれるか……こうした「人」としての信頼感も、とても大切です。
利益重視で動く営業担当者ではなく、お客様の立場に立って「後悔のない家選び」を一緒に考えてくれるパートナーを見つけることが、成功への近道です。迷った時は、複数の不動産会社を比較したり、口コミや紹介を活用したりするのもよいでしょう。
「この人に相談してよかった」と思える相手に出会えれば、家探しはグンと心強く、安心できるものになるはずです。
ステップ5:現地見学で「生活の目線」をチェック
インターネットで物件を探していると、写真や間取り図だけで「ここ、いいかも!」とテンションが上がることもあるでしょう。でも、実際に住むかどうかを判断するには、現地を見学することが重要です。なぜなら、物件そのものだけでなく、周辺環境や生活動線などの実際の暮らしに関わる情報は、現地でしかわからないことがとても多いからです。
まずチェックしたいのは、物件そのものの状態です。図面上では気づきにくい「陽当たり」「風通し」「周囲の建物との距離感」「騒音」「におい」などは、現地で体感して初めてわかることがほとんどです。
また、部屋の広さも、数字ではイメージしにくく、実際に立ってみると「思ったより狭い」「家具の配置が難しそう」といった感想を持つこともあるでしょう。
次の注目ポイントは、周辺環境やアクセスのしやすさです。駅やバス停からの道のりを実際に歩いてみることで、「坂道がきつい」「夜道が暗い」「交通量が多くて危ない」「歩道が狭い」など、写真では伝わらない「生活感」に気づけることがあります。
また、近くにスーパーやコンビニ、公園、病院などがあるかどうかも大事なポイントです。地図上では近く見えても、歩くと意外に遠かったり、道がわかりにくかったりするケースもあります。
さらに、見学は可能であれば複数回、異なる時間帯で行うのがオススメです。昼間は静かで過ごしやすくても、夜になると人通りが少なくて不安に感じる場所もあれば、逆に夜でも明るく安心できるエリアもあります。朝夕の交通量、学校の登下校、近隣住民の雰囲気なども、時間帯によって印象が変わることが多いものです。
そしてもう一つ大切なのが、「生活の目線」で見るということ。例えば、「洗濯物をどこに干すか」「ベビーカーを玄関に置けるか」「ゴミ出しのルールや場所はどうなっているか」「雨の日に道路に水たまりができないか」など、実際の生活シーンを思い描きながら見学することで、暮らしやすさのリアルが見えてきます。
物件見学は、「ただ家を見に行く」時間ではありません。その場所で自分たちがどんな毎日を過ごすのか、未来の暮らしをシミュレーションするための大切なプロセスです。チェックリストを持っていくと、見逃しがなく効率的に確認できます。
「いい家だな」と思ったら、そこに暮らす自分たちの姿をしっかりイメージできるかどうか、五感を使って現地をしっかり確かめることが、後悔しないマイホーム選びにつながります。
ステップ6:購入申込み・契約前の最終確認
「この家にしよう」と決めたら、いよいよ購入申し込みです。気持ちが高まるタイミングですが、ここから先は慎重に進める必要があります。なぜなら、購入申込み後に進む「重要事項説明」や「売買契約」は、法的な効力を伴う正式な手続きであり、後戻りが難しくなる場面だからです。
まずは「購入申込書」を提出します。これは「この物件を、この条件で買いたい」と意思表示をするための書類で、価格や引渡し時期、ローン利用の有無などを記載します。この時点ではまだ法的拘束力はありませんが、売主との交渉が始まるため、記入内容には責任が伴います。不明点や不安なことがあれば、遠慮せず営業担当者に確認しましょう。
次に行われるのが「重要事項説明」です。ここでは宅地建物取引士が、物件の権利関係、法的制限、契約条件などを詳しく説明します。例えば、「再建築不可の物件」「借地権付きの物件」「建蔽率・容積率の制限」など、将来の資産価値にかかわる重要な情報も含まれます。
この説明は専門用語が多く、理解しづらいこともありますが、決して聞き流してはいけません。わからない部分はその場で質問し、納得できるまで説明を受けることが重要です。ここでの確認不足が、後々のトラブルや後悔につながるケースも少なくありません。
そして最終段階として「売買契約」を結びます。この契約書には、物件の情報、売買代金、支払い方法、引渡し日、契約解除に関する取り決めなど、取引のすべてが記載されています。契約書に署名・押印した時点で、法的に購入の意思が確定することになるため、「後からやっぱりやめたい」ということは基本的にできません。
この段階でのポイントは以下の通りです。
・重要事項説明を丁寧に受け、内容を理解する
・契約書の記載内容を一つひとつ確認する
・手付金の金額や返金条件を把握する
・ローン特約(住宅ローンが通らなかった場合の解除条件)を確認する
家の購入は、大きな金額が動く一大イベントです。だからこそ勢いだけで進まず、「確認」と「納得」をすることが大切になってきます。信頼できる営業スタッフと二人三脚で、丁寧に進めていきましょう。
ステップ7:引渡し~入居準備までのスケジュール管理
売買契約を無事に終えたら、いよいよマイホームの引渡しへと進みます。しかし、契約が済んだからといって「これで終わり」と安心するのはまだ早いです。新しい暮らしをスムーズにスタートさせるためには、引渡しから入居までのスケジュール管理がとても重要になります。
まず、引渡し前後にやるべきことを大きく分けると、以下のような項目があります。
引渡し前に行うこと
- 住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)
金融機関と正式な住宅ローン契約を結びます。印鑑登録証明書や住民票、収入関係の書類などが必要になるので、早めに準備しておきましょう。
- 決済と所有権移転登記
売買代金の支払いと同時に、所有権を買主に移転する手続きが行われます。司法書士が立ち会い、不動産登記が行われます。 - 抵当権の設定登記
住宅ローンの担保として、土地と家に抵当権を設定します。必要な書類をそろえて、金融機関が指定した司法書士に手続きを依頼します。 - 火災保険の加入
住宅ローン実行には、火災保険の加入が条件になることがほとんどです。補償内容や保険期間などをよく確認して契約しましょう。
引渡し後に行うこと
- 室内の最終確認(傷・汚れ・設備の動作確認)
引渡し後すぐに確認することで、トラブルを未然に防げます。不具合が見つかった場合は、早めに売主または業者に連絡しましょう。
- 引っ越し業者の手配と荷造り
引っ越し繁忙期(2~3月)には予約が取りづらいため、早めの手配をしましょう。新居の間取りに合わせて家具の配置を考えたり、不用品の処分を進めたりしておくとスムーズです。 - 新居の防犯対策(鍵交換・防犯設備の導入)
中古物件の場合、鍵の交換は必ず行いましょう。必要に応じて、モニター付きインターホンやセンサーライトの設置をすると安心です。
入居前~直後に行うこと
- ライフライン(電気・ガス・水道・インターネット)の開通手続き
引っ越し当日から使えるよう、1〜2週間前には連絡を済ませておくのが理想です。
- 住民票の移動・各種住所変更手続き
役所への転居届の他、運転免許証、銀行、保険、学校関係など、住所変更が必要なものは一括でリストアップしておくと便利です。
スケジュールを「逆算」で考えるのがコツ
「いつ入居したいか」「いつ引っ越しできるか」から逆算して、各手続きや準備の時期を整理しておくと、慌てず対応できます。カレンダーやチェックリストを活用し、家族で共有すると、抜け漏れが防げるでしょう。
家の購入はゴールではなく、新しい暮らしのスタートラインです。引渡しから入居までの準備を丁寧に進めることで、新居での生活を気持ちよく始められます。最後まで気を抜かず、楽しい新生活に向けて着実に準備を進めていきましょう。
まとめ
マイホーム購入には多くのプロセスがあり、決して短い道のりではありません。しかし、一つひとつのステップを丁寧に踏んでいくことで、「自分らしい暮らし」を手に入れることができます。
理想を描き、現実と向き合い、納得できる選択をしていく……その積み重ねが、後悔のない住まい選びにつながります。初めてなのだから、不安になるのは当たり前。だからこそ、一歩ずつ順番に進むことが大切なのです。
「私たちに合った家って、どんな家だろう?」
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